資源管理
漁師というと魚を獲ることだけが仕事とお考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、現在では全国各地の漁師さんたちが、魚を獲るだけでなく、魚を減らさないようにする取り組みや魚の直売などを行うようになってきました。
銚子市外川地区のキンメダイ漁師も、小さすぎる魚は逃がしたり、禁漁期間を設定するなど魚を減らさないように資源管理の取り組みを古くから行っています。また、自分たちの釣っているキンメダイを全国の皆さんに知ってもらい食べてもらおうといろんなPR活動を行っています。
ここでは、そんな外川のキンメダイ漁師が行っているさまざまな活動を紹介します。
操業時間・操業日数の制限
操業時間を1日あたり3時間以内に制限しています。また、毎週日曜日と市場休業日を定期休漁日としているほか、操業日数の削減にも取り組んでいます。
漁具・漁法の制限
釣り針の数を60本までに制限しています。また、底はえ縄と呼ばれる漁獲効率の良い漁法を禁止し、一尾一尾丁寧に手釣りで釣り上げています。
小型魚の再放流
小さいサイズのキンメダイは、釣り上げた後に再放流しています。外川地区のキンメ漁で特徴的なのは、再放流サイズを厳格に守るために、全長による再放流サイズの管理ではなく、尾叉長(びさちょう)による再放流サイズの管理を行っている点です。これは、全長で管理すると尾びれの測り方次第で測定結果が変わってしまうことがあるためです。その点、尾叉長はそうした心配がないため、放流サイズの管理を徹底することができます。現在、尾叉長20.5センチ未満のキンメダイ(全長25センチ相当)を再放流しています。
キンメダイの標識放流
標識放流とは、釣り上げたキンメダイに一尾ずつ小さな名札(標識)を付けて、再び海に放してあげることです。せっかく釣ったのに、また放流するのはモッタイナイ気がする方もいるでしょう。でも、これはキンメダイを守っていくうえで、とても重要な調査なんです。
多くの場合、標識には通し番号が書いてあります。標識をつけられて放流された魚が、いつか誰かに再び釣りあげられた時には、標識の形や番号から、その魚が、いつ、どこで、誰によって放流された魚なのかを知ることができます。
平成6年以降、千葉県の研究機関の協力を得ながら、5000尾以上のキンメダイに標識を付けて放流を行ってきました。その結果、銚子沖で放流したキンメダイが、外房沖や伊豆諸島海域にとどまらず、高知県室戸沖や小笠原諸島、奄美諸島まで移動することがわかってきました。
こういった地道な調査によって、キンメダイを減らさないようにするためには、千葉県のキンメダイ漁業者だけでなく、東京や神奈川、静岡、さらには高知、鹿児島など、広い範囲での管理が必要なことがわかってきました。
キンメダイ標識魚再捕記録
キンメダイ・アカムツ研究会
外川地区でキンメダイやアカムツ等を漁獲している漁師さんのうち、主にキンメダイを漁獲している40~60代の漁師さんの代表で組織されています。銚子沖漁場における操業に関する協議に加え、鮮度管理やPR活動についても協議を行っています。最近では外川支所青年部の20~30代の若い漁師さんも参加し、幅広い世代の代表が集まって広い視野で協議するよう心がけています。
また、千葉県の機関の協力を得ながら、銚子沖キンメダイの永続的な利用に向けた会議や勉強会がこれまで何度も開催されていますが、研究会のメンバーを中心に、多くの漁師さんが参加して積極的に意見交換を行っています。